言いたいこと以外言わないソレ

言いたいこと以外のことを言わない文章の集まりです。

本当の本当に謝りたい!1mmも知らないのに苦手意識を持っているものリスト(2024年版)

 『本当の本当に謝りたい!1mmも知らないのに苦手意識を持っているものリスト(2024年版)』を公開しておこうと思う。これは将来的に、これから挙げるコンテンツに触れ、心打たれ、「俺が愚かでした」と鼻水で顔面をぐちょぐちょにしてのたうち回る予定のうえで書いているリストなので、怒らないで欲しい。無知は罪であることを、既に承知していることを承知していただきたい。むしろ反論して、俺に勧めて、そんで鼻水で顔面ぐちょぐちょにさせていただきたいほどである。

 

 

 

【エントリーNo.1】「アオのハコ」

 

・等身大っぽい運動部の高校生の恋愛を描いている…?部活もの、と恋愛ものの間、みたいなイメージではいる

・なんか青春っぽくて腹が立つ

・読んだことがないので当然だが、「思想」というか「滾る熱い血」の気配を感じられていない もっと血反吐を吐いてほしい

・だが、高校生の恋愛、部活の葛藤は、彼ら彼女らの(そして過去のわれわれにとっても)スケールとして、血反吐を吐くほどのものなのかもしれない。人には人の地獄がある、という宇垣アナウンサーの名言を思い出している

・だからといって許せない。俺がご機嫌にきしたかのYouTubeを見ていたとき、次の動画で再生されたアオのハコのアニメ告知が、いかに俺の心を砕いたことか。もっと血反吐を吐けガキが

 

 

【エントリーNo.2】「オーディションでアイドルを作る感じの番組」

 

・これに関しては嫌いともちょっと違うんだけど…何?の感情が凄い

・もちろん、最初から視聴して、最後まで見届けたときに、すっかり感情移入してしまって熱狂する、という心の動きはよくわかるどころか、よくやっているのでよくわかる。M-1とかそう、3回戦とか準々決勝で負けた組を来年応援する気持ちで見るの好きだし

・でも、なんか、オーディション合格した瞬間、完成されたパッケージの中に入れられて、ただ「オーディション参加者の中で優れていた」という判断基準のみで選ばれた人たちなのに、さもスターダム上り詰めました。みたいな売り方されるの違うくないですか? それを熱狂的に応援して楽しいのか? すでにセット売りされている、作られている情動の上に乗るのって悔しくないのか? オーディション合格、アイドルとして結成がむしろスタートラインなんじゃないか?(これは同時に昨今のM-1批判みたいな文脈も含んでしまいそうだけど、他意は無い)

・いや!?!?!??! もしかしたら、そうなのかもしれない。俺が観測してないだけで、そういう見せ方もしているのかもしれない。音楽番組に出ることがもしかしたらそうやすやすとできていなかったりするのかもしれない

・調査が必要そう。これ以上は何も語らないどこう

 

 

 

【エントリーNo.3】「恋愛リアリティーショー」

 

・俺は基本的に恋愛を憎んでいるのかもしれない

・違う、単純に、単純に。単純にさ、マジで半ば出来レース、あるいは人工的な恋愛を見て、楽しいのか? フィクションだったら全然わかるんだけど

・動物園や研究機関って、絶滅危惧種の繁殖のために、オスとメスをつがいにして子供を作らせようとしてるじゃないすか。恋愛リアリティーショーが直接にそうだって揶揄してるわけじゃなくって、超俯瞰的に見たらそう見えないですか。仮に今人間文化を微塵も知らない宇宙生命体が恋愛リアリティーショーを観測したら、そういうものに見えても仕方ない

・性の乱れを感じます!とかそういう主張がしたいんじゃない

絶滅危惧種の繁殖のごとく、茶番じみてるように感じてしまう自分を看過できないのである

・でも、そうじゃないのかもしれない、という疑念が拭い去れない。まるで手品のように、タネも仕掛けもある恋愛模様なのに、すとんと熱中してしまう構造や演出、そして何より出演者のホンモノの心の動きがあるのかもしれない

・否定の繰り返しで申し訳ないが、でも。でもみんなには忘れないで欲しい。「恋愛リアリティーショーの『出演者』」という言葉の中には「『演』ずる『者』」が入っているということを

 

・あ、お前、使い古されたあの画像貼ろうと思ったな?

 

・そんなことわかって皆楽しんでんだよ 第一話 「お前は寝てろ」

 

・って。

 

・でも俺は冒頭で述べた通り、わかっていないから楽しめていないのだ。見たことないのに批判するなと言われても、冒頭で述べた通りこの文章は「「俺が愚かでした」と鼻水で顔面をぐちょぐちょにしてのたうち回る予定のうえで書いている」文章である。

 

・要は、食わず嫌いを自覚したうえで、食う前の感想を述べているわけである。

 

・いわゆる、フリとオチのフリの部分をやっているわけだな。

・なので、もし上記のエントリーの中についておすすめしていただければ、大至急で視聴する所存であるし、見終えた瞬間気持ち悪いくらい手のひら返してほめちぎる予定である

 

・俺を理解(わか)らせてくれ

 

 

 

 

 以上、これが俺の『本当の本当に謝りたい!1mmも知らないのに苦手意識を持っているものリスト(2024年版)』である。本当に1mmも知らないのに苦手意識をもっているものは他にないか考えてみたが、条件にあてはまるものはこれしかなかった。

 というか、苦手なものあんまりないかも。これはほとんど『俺の苦手なものリスト』と言い換えてもいいかもしれない。

 

 先ほどの箇条書きで言いたいこと(そして予防線)は言えたので、特に語ることもない。

 俺を理解(わか)らせてくれる人間を待っている。

日記2024/03/25/上京

 上京してしまった。とうとう。

 ただ、ここ数日の暮らしぶりはほとんど山形で一人暮らししていたころとほとんど変わらないものである。パソコンをいじって、寝て、パソコンをいじる。終わっている。生産性の無い繰り返しをしながら、とうとう上京してしまった。

 

 スーパーが近い。ドンキが近い。コンビニが近い。チェーン店が近い。だいたい近所に全部ある。これはうれしい。

 

 

 

 

 

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ会社の書類メールで出せると思ったら電話しないといけなくなってるああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。

 

 

 社会人になりたくない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

日記2024/03/17/カフェインへの恋文

  カフェイン中毒である。毒に中る、すなわち何か激しい諸症状に苦しまされている、という意味合いでの中毒でなく、単にジャンキーなのである。カフェインジャンキー。

 朝カフェインを入れないと、エンジンがかからない気がしている。困ったものだ。半ばジンクスと化しているくらい、朝はカフェインを取らないといけない気がしている。

 

 カフェインの有害性は認められていない。カフェインはベータカロテンと同様の効果を持っている。カフェインの有害性は全くない。カフェインは陽だまりの猫と同じくらいあたたかく有害でない。カフェインはとれるならとれるだけ摂るべきである。バーゲンセールと同じくらいの勢いで摂っていくべきである。

 

 カフェインは無害である。カフェインの有害性は観測史上一度も発現していない。カフェインは無害である。摂ったほうがいい成分としてエコノミスト誌にも掲載されている。ある科学者によれば、カフェインは住民票以上にとったほうがいいものであるとされている。それは事実である。

 

 なるべく毎日欠かさずしたほうがいいことの一位は努力で、二位はカフェインの摂取だと青年実業家は言っていた。これを単なる非科学的な主張だと忽略する人間のなんと多いことか、と彼は嘆いていた。カフェインから始まるのだ、すべてのビジネスプランは。

 

 以上、これらのメリットはすべて全くの虚偽である。

 それでも俺はカフェインを摂りつづけることを選びたいほど、この科学の成分を愛してやまないのである。

登場人物が多すぎて論旨がボヤける小説

 蟹江祥一(かにえしょういち)はため息を吐いた。原因はテーブルの向かい側に座る女、桐分城夕那(きりわけだちゆうな)にある。

「で、アイツとはどうなったわけ」

 ストローでアイスコーヒーをくるくるかき混ぜながら、にやついた顔で問いかけてくる。アイツ、というのはもちろん、俺の片思い相手、四十万愛佳(しじまあいか)のことである。相変わらず不躾な質問だと思いながら、俺は声を潜めて答える。

「付き合うことになった」

「えっ、マジ!?嘘!」

「嘘、って失礼だなお前」

 桐分城と四十万は幼馴染であり、四十万のそのよく言えばさっぱりしている、悪く言えばとことん好き嫌いの激しい性格は俺らの間では周知のことだった。だからきっとこの結果は桐分城には意外だったのだろう。

「平次郎もうちも、フラれるに賭けてたのに」

 平次郎――葦野平次郎(あしのへいじろう)は桐分城の彼氏である。また、俺と同じサークルの友人であり、親が開業医のボンボンでもある。

「人の恋愛でギャンブル楽しんでんじゃねえ」

「いや、平次郎が言い出したことだし、知りませーん」

「こいつ・・・」

 桐分城との出会いは四十万との出会いを引き起こしたという点で僥倖だが、桐分城との出会いがあったという時点で最悪だったのでプラマイゼロであった。

 大学に入学した俺は、有名ロックバンド『UNROCKED DOOR』のボーカル、時雨驟雨太(しぐれしゅうた)を輩出したことで有名な軽音サークルに入り、日を同じくしてその入会の場にいたのが、桐分城、四十万、葦野、そして海原九(うなばらきゅう)であった。共通の音楽の趣味と全身から漂う性格の悪さに互いに親近感を憶えた我々はすぐに仲良くなり、サークル長の生塩粋(いくしおすい)の家に毎日のように入りびたる仲になった。生塩先輩の親はどうやら有名な国会議員先生らしく、生塩先輩の別邸には我々が暮らすのに十分な数の部屋があるほどだった。

 そんなこんなで四十万と同じ高校出身の作上真司(さくがみまつか)や『UNROCKED DOOR』のドラムである垂石京助(たれいしきょうすけ)の助力もあり、先日、四十万との遊園地デートにこぎつけたわけだった。

「何?大丈夫?」

 今までの苦節を振り返ってぼーっとしていた俺に、桐分城が声をかけてきた。

「あ、うん、なんでもない」

「そ・・・あ」

 桐分城のスマホからLINE電話の着信音が鳴り始めた。ごめん、と一声かけて席を外した。俺はあいつが残したアイスコーヒーのグラスをぼーっとまた眺めた。四十万はブラックコーヒー飲めないらしいけど、こいつは飲めるんだな・・・あ、でも四十万のコーヒー嫌いは清河績(きよかわつむぎ)の悪戯のせいだったか。あれから時間もだいぶたったし・・・

「おい」

気づけば、桐分城と糸井重里(いといしげさと)が目の前にいた。

「あ、なに?」

「ガチでぼーっとしてんじゃん、うかれんなよ」

「あ、うん・・・糸井、来てたんだ」

「おう、お前のカップル成立祝いに、今日飲みにでもいかないか、って思ってな」

 糸井は気が利くやつだが、こういうときはそっとしておいてほしい、なんて言いかけたのを予測したのか、口を開きかけた俺に対し桐分城が割って入ってきた。

「ね。だからもうみんな呼んだから」

「は?みんなって誰?」

「まず四十万、平次郎は当然として、生塩先輩でしょ?えーと、あと藤沢(ふじさわ)と驢馬桑(ろばくわ)、その二人と同じバンドで呼ばないのは気まずいから清河。あと銀鮭(ぎんじゃけ)と機関柱(きかんばしら)、谷口(たにぐち)と熊叩(くまだたき)、粁口(きろめーとるぐち)はあんたと知り合いだから呼ぶ。あと誰いたっけ?」

「おい、多いって」

「まあいいじゃん、童貞君の晴れ舞台だから」

 俺は童貞じゃねえ、と遮ろうとするのを糸井が制し、続ける。

「源(みなもと)と魚(さかな)は?」

 桐分城がこたえる。

「魚って、女のコのほう?それとも三年の男の?」

「魚淳介(さかなじゅんすけ)。男の三年の」

「え、うちアイツ無理なんだよね。みっちゃん(蜜集由香(みつあつめゆか))のことガチで狙ってたから」

「あー、誘ったの畳奈良(たたむなら)さんだから、うーん、それとなく伝えとくわ」

「え、OBの?OBの畳奈良さんまで話行ってるの?」

 俺は困惑を隠せない。

「もちろん。明石家(あかしや)さんとか繰民組坂(ぐるーみんぐざか)先輩とか、あとあれだ、顧問の心拍数(しんぱくすう)教授まで話行ってるし、その嫁さんのツッパリちゃんまで誘う予定ではある。あ!同級生すくねえなそうなると」

「じゃあさじゃあさ、学部からも呼ぼうよ、緑間(みどりま)とか磨(みがき)とか机(つくえ)くんとか、香水チャーハンとか」

「おい誰だよ最後の」

「いいね!あと貴様(たかしさま)とか優待(すぐるまち)とか二(いちのつぎ)とか一一二三五(ふぃぼなっち)とか!俺知り合いにバーやってる武(たけ)っちゃんって人いるからさ、そこ貸切ってもらおう!」

「うん!いいねいいね!」

 ああ、だから嫌だったのだ、桐分城が絡むといつも話が大きくなる。

 なんだかクラクラする意識の中で、いつ、本当はフラれたのだ、という事実を告げるか、俺は結論を全く出せずにいた。

日記2024/03/10/論はむつかしい

 実家に帰ってきていて、久しぶりに地上波のテレビを見ている。自分がちいちゃい子供だったころと比べて、テレビ番組は露悪的でなくなったと思う。

 露悪的でないからこそ、性格が悪い時代である。潜ませた悪意を察した人間が、含み笑いを湛えながら同じく察した人間とそれらを共有する。ポリティカルなコレクトネスを求められすぎている現代に生じた歪みの、その隙間――ニッチを埋めるように性格の悪さが棲息しているのだろう。

 

 というどこかで聞いたような、税込み0円以下の価値もない文章を書いてしまった。反省反省である。自分の中で目新しさを見出せない意見を吐くのはしんどい。だからといって自分の中で新鮮な情報が生まれることこそ稀有なものである。

 目からウロコみたいな発言をしたい。

 一旦それっぽいことでも言ってみるか。

 

 

ジャニーズ事務所、から脱退しても、またジャニーズ事務所、というものの名が変わったとしても相変わらず目立つ人は目立ちそうでないひとはそうでない。これはこれからが個の時代に突入することのしるしなのではないだろうか。これはおでんによく似ている。おでんはおでんという総称がついているが、結局食すときには単体の具である。大根、たまごというおでんの主力メンバーは結局おでん以外でも活躍している。おでんというのはジャニーズ事務所という名前とまったくかわらない。結局は、個なのである。個を取りまとめる際に、おでんという名前(ジャニーズ事務所という名前)があれば、そうでもない個、を扱うのに都合がいいだけで、本質は個にあるのである。これからは、大おでん時代の到来である』

 

 

 

 ……しんどい。矛盾点を突かれたら即死すること待ったなしの文章である。やはり俺に論説を行う才能はない。俺は論客にはなれないのだった。

バリバリ

 グエッ、となってしまうではないか。マジでもう大人になることから逃げられない年齢に達している。

 正しい時間に寝たくない。正しい時間に起きたくない。正しくあるのは難しい。地球上に存在するイヤホンのうち、絡まっていないイヤホンの割合のことを考えている。もしも、絡まっていなくて整然としているイヤホンの数のほうが多かったら、俺は絶望するしかなくなってしまう。

 正しさ、あ。本当に就職とか将来とか結婚とかキャリアとか積み立てNISAとか本当に刹那的でないその他もろもろの話をしないでほしい。いつまでたってもゆで卵をおいしい半熟にする方法を知らない俺のことを愛してほしい。

 両方できるのはずるい。正しさと正しくなさはきれいにすみわけできていて欲しい。俺たちだけの国を作りたい。

 

日記2024/02/24/ビルドについて

 上京する。

 そのため、メインの物資はすべて東京に送り届けてしまい、いま俺が住む家の設備はネカフェにギリ負ける程度の貧相さになってしまった。一昨日までは家の中にベッドとゴミ袋しか存在しなかった。

 アルバイトを終えて、どうぶつの森の初期装備みたいな家に帰宅したときの寂寥と悲哀は筆舌に尽くしがたいものがあった。ノートPCも持ってきてはいるものの、ベッドしかない家では作業に向かない。だからすることもなくスマホを開きながら横になるのも致し方なかった。

 ああ、引っ越し。ここでできた様々を置き去りにしたり引き継いだりしながら、おれはここを去るのだ。引っ越し……。サカイ引越センターが残していった段ボールもいくつか残っている。処理しなきゃな、不用品。ああ。ああ引っ越し……。

 突如、八木に電流走る。

 段ボールを加工してデスクを作ろう。

 思い立ってすぐにガムテープを手に取り、わくわくしながら俺は段ボールを組み立て始めた。それはさながら秘密基地を構築するような気持ちだった。段ボール一つではマウスを操作するスペースがないから、二つ分組み立ててまたガムテープで強固にくっつける。

 こういった、無や不便から、まるで陣取りゲームのように、自分の快適を提供できるスペースを名付けるみたいにして作り出すのが好きだ。

 これを、漫画家・エッセイストの香山哲さんは『ビルド』と名付け、「自分の快適や充実を、無い場所に作り出すことなら、だいたいどんなものでもビルドだからね」として定義している。俺はこのビルドの説についてきいたとき、すとんと腑に落ちる気持ちがした。

 「例えば・・・お風呂でフライドポテトを食べながら読書をする仕組みをつくることは、ビルドだ。」「2時間くらいノートで作業しても大丈夫そうな喫茶店を見つけるっことだってビルドだ。」と香山さんは例示する。

 俺がいまこの住まいで行っていることもビルドだし、これから東京で行うこともビルドだ。さて、ビルドの下ごしらえのために、俺は今から不用品回収業者に連絡しなきゃな……。

 

 

参考文献:自主れんさい漫画【ビルドの説】|香山哲|note