2018年の春、夏。
ぼくはライブハウスに行っていた。行っていたと言っても数月に一回程度で、足しげくなんて表現とは全くかけ離れた頻度である。
ライブハウスに行って、ライブレポなる文章を書いていた。ライブハウスには天上の人々みたいなカッコいいバンドマンや運営者がたくさんいた。中には大人じゃなくて高校生もいた。そんな人たちにあこがれた。そんな中で、我ながらよくもまあズケズケとライブレポなんて生半可なものを書いていたと思う。
突然モヤシみたいなガキが現れて、変な文章書いて去ってく。その節に関して不快な思いをさせてしまっていたら済まない、と今ではとても反省している。
ライブハウスにはあの秋の吾亦紅の花(参照:http://aodrips.hatenadiary.com/entry/2018/11/22/222930)以来ぱたりと行っていなかった。セブンイレブンでアルバイトを始めたり(学校にバレて連日怒られた話はまた今度)忍び寄る受験勉強の影に、諸々忙殺されていたのだ。
いつの間にか、不器用なりに愛していた札バンへの関心も薄れていった。
くそったれなニワカにはなりたくないと思っていた自分がニワカになっていっているのを感じた。
でも、あのころライブハウスで経験した時間は確かにぼくの心臓に刻みこまれている。もえぎさん、なりたさん、スガタさん、こーへーくん、あとたくさんのひと。こんなクソガキに最高の経験をありがとうございます。
あのころライブハウスできいた音は忘れられなかった。
Plain、KARMA、CVLTE、Mr.Nuts、THE BOYS & GIRLS、ウメイロ、
そして・・・・
SULLIVAN's FUN CLUB
季節は巻き戻る。
PINK YELLOW BLUEZ
今日の夕飯はコンビニ飯で、野球観戦に行った家族から千円札を一枚渡された。
受験勉強が上手くいかなくて、全く何も動けなくて、今日一日をドブに捨て去った。
自己嫌悪する気力すら絞り出そうともしないから、もうにっちもさっちも行かなかった。
そんな自分が嫌いだった。でも嫌いになるより、嫌いにならないほうが楽だったからゴミみたいにボサボサの頭をもたげて暮らしてた。
夕飯の時間になったから飯買いに行かないとなとおもって風呂に入ることにした。
風呂にはいるときぼくはいつも音楽を聴く。なんにも上手くいかなかった日はとくにそうする。彼女とLINEしてたんだけど、すごくぶっ飛びたくてYouTubeを開いた。今欲しい音楽を鼓膜に次々ぶち込んだ。
卒業証書。
歩く日々ソング。
陽炎。
いってらっしゃい。
DOOR…17才…
ぼくは泣いていたような喜んでいたような顔をしていた。シャンプーしたまま飛び跳ねて横転しそうになった。完全に奇行だった。
シャワーから浴びると気持ちはさっぱりしていた。
近くのローソンに行くために服を着替えた。スニーカーの靴紐を結んで、ブルートゥースイヤホンを繋いで、
PINK YELLOW BLUEZはそこにあった。
なんだか心臓がバクバクして、靴紐ももうなんか適当に結んで玄関を転がるように飛び出ていった。
耳が壊れるんじゃないかってくらいの爆音のほうがちょうどよくて、気が動転したんじゃないかってくらい夢中で走るのがちょうどよかった。
とにかく夢中だった、餓死寸前の飯のごとく、溜まった性欲を解放するかのごとく、酸素を求める魚のごとく無我夢中で聴きふけって両手を挙げて走った。
はたから見たらどうかとかもう考える余裕なんてなかった。考える必要もなかった。
衒学的でも、懐古的でも、婉曲的でもなく貫くギター、ベース、ドラム、ヴォーカル。
不意に走る17才のイントロ、ローソンまでの道が永遠に続いて欲しかった、このまま走って走って、何者でもない何かでありたかった。脳がぶち抜かれて行く。
春が過ぎて
夏が過ぎて
それでも君を目で追いかける
秋が過ぎて
冬を越えて
春が来れば遠く行く君へ
君とならば
君とならば
魔法旅行今すぐ行けるかな
君とならば
宇宙旅行今すぐ行けるから
君とならば
君とならば
君とならば・・・・
好きな君にはすきといってしねたらいいな
家に帰る途中もう一回聴いた。
手にはしょうが焼き弁当もってたから走れなかった。代わりに少し泣きました。
受かりてえなあ、大学。と思った。
一生死にたくねえな、とも思った。
すきなきみにすきといって死ぬのはすてきだな、とも思った。
家帰ったらさっきまでアホみたいにアニメみてたパソコンあるから書かなきゃなっておもった。
サリバンは俺のヒーローだなっておもった。
ヨシダレオさん、ヤダニイナさん、タダカズキさん、ヨシダカズマさん。
愛を込めて。
いつかぼくも死ぬなあとかんがえたらいても立ってもいられなくなった。ライブにいきたいなって思った。受験終わったらだなって思った。
コンビニ飯が美味かった。
SULLIVAN's FUN CLUB - PINK YELLOW BLUEZ(MV)
聴いてくれ全人類。
ボーイズドントクライながら性懲りも無く泣いている。
おしまい。とりあえず聴いて。