明るい音楽を聴けない精神状態の日ってあるよね。
元気で、エネルギーに満ち満ちているような日は、むしろそんな明るい音楽が自分に羽を授けて、もっともっと飛翔するための活性剤になるのに、じとじとして溜息すら出ないような日には、明るい音楽を懐疑的に見たり、斜に構えて重箱の隅をつつくように批判したりするの、なんなんだろうね。
ライブに行けなくなってから、音楽を聴く方法は圧倒的にイヤホンになった。
脳味噌に直接つながる器官に、最短距離で音楽をぶち込んでいる。これはもはや音楽の静脈注射といっても過言でない。
音楽という刺激的な化学物質を、脳味噌に直で延々と注入しているのである。
脳味噌のほうが鬱々としているときに、躁的な音楽を静脈注射で流し込むと、磁石のS・Nが反発しあうようにして、「ああ畜生!」と道行く老婆にでも空飛ぶカラスにでもおもきし中指を立てたくなるのである。
だから僕は、端末のプレイリストに「どっちでもいいからブッ飛べる」曲を主観による選定でまとめている。
お前の感情なんか、知ったこっちゃね~、という破壊的な、あるいは、いいからあたしの曲を聴きなさい、というある種押しつけがましい、そんな曲群があるのだ。
パンダヒーローはまさにそんな曲である。
パッパッパラパッパパラパ
ラッパの音のような歌詞が、自分の脳の中の汚れたコンクリの壁を巨大な金属バットで破壊していく。
とくにこのめいちゃんverがいい。イントロの裏拍?が最高に良い。原曲は耳が腐るほど聴いたから、このアレンジは今新鮮な状態で鼓膜にぶっ刺さる。
歌い方もいい。歌ってみた文化って本当にいい。最近じゃ「歌ってみた」じゃなくて「cover」と多くは書くようになったらしいけど、本質的に「歌ってみた」は「歌ってみた」だと思う。
自由なんだよね、Coverっていうより、歌ってみた、っていう気軽なくらいの方が、なんかいいよね。
VOCALOIDって、いわゆる普通の歌手が歌う曲と違って、まあ詰まるところコンピュータの音声なわけで、でもだからこそそれを人の声で再録しようと思ったとき、解釈の裾が広がってる感じがする。
だから普通のCover、よりも歌ってみたの自由性が好き。
早口で言ってそう。
気に食わないことがあったとき、意味もなく明るい曲が聴けなくなってるとき、とりあえずパッパッパラパッパパラパしようぜ。