言いたいこと以外言わないソレ

言いたいこと以外のことを言わない文章の集まりです。

革命の夜明けまで時間がない

デカくて強い言葉を使うのは簡単だが、それによって受ける反動に耐え切れるような体幹が必要不可欠である。

巨大な得物を使うときは、肩や腰に負担がかかるのと同じように、デカくて強い言葉にはいわゆる諸刃の剣的側面があるのだ。

 

例えばダイエット。「△までに○キロ痩せる」という強い誓約は、口に出した瞬間にピークの快感を与えるが、その実闇金もびっくりの強い負債をも同時に与えている。

もしこれが実現できれば、その人にはダイエットで痩せたぶんの魅力が付与されるだけでなく、自分との契約を達成したという自己肯定感もたっぷり与えてくれる。しかし、もし契約不履行…つまり全くもって達成できなかった場合、圧倒的な敗北感と劣等感が、自覚の有無に関わらず今後の人生に付き纏う。

 

そして俺はこの半生で、幾度と無く契約不履行を繰り返し、夥しい量の自分への不信感を蓄積してきた。それは最初は無自覚的なものだったのに、ここ最近はもはや、もはや自分に対して何かを挑戦するということさえ諦めてしまっている。まるでテンプレのように「できないなら目標を立てるだけ労力の無駄である」と言外にそうにおわせていた。

自分がそんなちゃっちい人間だと思いたくないが、事実俺はずいぶんとつまらない人間になってしまった。つまらない人間になりたくないなんて中学生の頃は洟垂らしながら思ってたんだろうけど、その思考がつまらなさの轍をなぞり始めていたのかもしれない。

 

 

 

有名人や配信者の年齢が、じぶんと二、三年程度しか変わらないことに気持ち悪くて惨めな感情を抱き続けているけど、いつまでこんなことしているんだろうか。

曰く俺。

今までの20年164日2時間1分13秒のすべてが、差押債権目録に記載されている。裏切り続けてきた報いとして、本来正当に努力して全うに叶えていたはずのバラ色の時間を、すべて差し押さえられてしまっている。

 

だから惨めなのだ。

 

答えなくてはならない。いつまでこんな惨めな思いをするのか。

 

あえて強くてデカくてカッケエ言葉を使うなら、それは今このときまでだ。今ここでやめるしか無い、今日たった今ここでやめるのが最善の選択であり「最大値」なのだから。

 

明日の朝が来るまでに準備を終えなきゃ。

 

じんのヘッドフォンアクターで言うところの「もう残り一分」で、サンボマスターが言うところの「終わらないミラクルの予感」で、ハンブレッターズが言うところの「どこまでも行けると思った夜」で、GOING UNDER GROUNDが言うところの「バカどもが寝てる間にさよならする今日」で、フジロッ久(仮)が言うところの「命消えちゃう前に成し得なくちゃ」で、クジラ夜の街が言うところの「六畳部屋から打ち上げる透明花火」だったりして、SULLIVAN's FUN CLUBが言うところの…あーこれ選べないな、でも、多分「iPod nano 握りしめ逃げ出した夏の午後」で、ハルカミライの言うとこの「明かりの先」で、ピノキオピーが言うには「セカイはまだ始まってすらいな」くて、神戸が言うには「夢をあきらめ」なきゃいけなくて、で、UNISON SQUARE GARDENが言うところの「完全無欠のロックンロール」で、CreepyNutsが言うところの「何者ですら無い俺のドラマ」で、TEPPANが言うところの「惰性な現状」で、だからこそこれが、MOROHAが言うところの「革命起こす幕開けの夜」

 

強い言葉は冷静になればなるほど身が竦み、恥じらい、黒板に書かれたチョークの軌跡を急いで消そうとするように、それを撤回しようとしたくなる。だって、強い言葉を吐いたって強い人になれるわけではないから。

 

朝になったら気恥ずかしくなっているかもしれないけど、でも吐かな始まらない。強い言葉から逃げていては、にっちもさっちも立ち行かない。

とにかく頑張りたいのだ、敗者復活戦の最終受付が今日だった、そういう話。