言いたいこと以外言わないソレ

言いたいこと以外のことを言わない文章の集まりです。

スマホで文章なんて書きたくない

【数日前の自分のメモから引用しています】

 

新宿なう。状況的にはこんな感じ。

 

 

わが愛しき東北地方へとかえるため、高速バスを利用するのだが、案の定混み合っているバスタ新宿待合室。おれは階下へと降りて、ちょうどいい柱に背中を預けてぺたりと地面に座り込んでいる。
自宅の最寄り駅で同じことをしていれば、すぐさま泥酔したんだなと誤解されそうな状態だが、厳しいコンクリートジャングル育ちの東京都民にはべつに珍しい光景ではないらしく、バスターミナルの待合室すぐそとではさも当然かのように、みんな等間隔に並んで地べたに座り込んでいた。並木通りみたいだ。これでも都会を自負していた地元札幌市ではあんまり見ない光景だったからか、「トー横キッズもこんな感じなのかな」とおそらく的はずれな感想を抱いてしまった。

 

うん、ここまで読めばわかると思うけど暇なのだ。お金もないしギガの残量もない。そして待合室には座る場所がない。
暇を潰せる本とかもあるにはあるが、濡れないようにバッグの奥底にしまいこんだのを取り出してまた元に戻すのも少々面倒くさい。

 

それで文章を書いている。いまにしか書けないものがある!と、2ミリくらいの淡い希望をもって筆を執ったわけだ。

 

でも本心を言うならスマホで文章なんて書きたくない。フリック入力でシュコシュコ打っていると、なんだか虚しくなる。フリック入力から名文が生まれたことなんてない。
歌人松尾芭蕉の生まれた時代が令和じゃなくてよかった。スマホじゃおくのほそ道は作れない。

 

QWERTY配列のキーボードがいいなあ。スマホは嫌だ。「いちいち」とか「生き死に」とか「鬱々」とか、母音が同じ連続する言葉を打つとき、指を同じ向に素早くうごかすので、音ゲーやってるみたいな爽快感が生まれてそれがなんかキモい。


あとはなんか、物体としての軽さが嫌だ。そんなの気にし過ぎだろとか思うかもしれないけど、重さって重要だと思うよ俺は。だって純金がめちゃめちゃ軽かったら嫌でしょ。重さって重要なファクタの一つになりうる。

 


とかなんとか言ってるけど、だんだんスマホで打つのに慣れてきている自分がいる。打ちやすくなってきてしまった。どうしよう。論旨がトーストの上のバターみたいにジュワジュワ溶け出してきてしまった。
キィ〜ッッ、おれはスマホをくさしていきたいのにィ〜ッッ(ハンカチを噛む)

 

昔も似たようなことがあったな。パソコンでものを書き始めた当初も、「四百字詰め原稿用紙とシャーペンでこれからもものを書いていきたいのに〜」みたいなことを言ってた気がする。今じゃそんなこと、全くしてない。かなしいかなね。


実際文章を書くときの乗り物によって、アウトプットされる結果物のもつ空気感に差は出ているのかもしれないが、少なくとも見てくれに変わりはない気がする。

 

じゃあ少しでも便利な方がいいと思うけど、アンタはどうですか。

 

気付いたらここまで書き上げるまでに高速バスに乗り込んでしまったし、もう出発するっぽい。でもスマホだから、なんにもなかったかのように、すぐさまメモを立ち上げて文章の続きを書いている。


そう考えると、スマホもいいのか?文章、書いてもいいのか?スマホで!