正反対な君と僕、というジャンププラスに連載されているラブコメ漫画が好きだ。好き故に毎回脳を破壊され、好き故に破壊された脳は急速に治癒されていく。
高校生が出てくるアニメや漫画やドラマを見ると、そのあふれ出るフレッシュさみたいなものに心が癒され、感動し、初心を思い出し、そしてふと我に返ったとき、まるで、無限に広がる真っ白な部屋にひとりぼっちでぽつんと取り残されたかのような、そういう厖大な寂寥感というか空虚さに押しつぶされそうになる。俺が今後何十億稼ごうと何百億稼ごうと、どうあがいても無垢で愚かで甘くて苦くて目が回りそうなその地点には、もう、絶対に戻ってこれないのだと、気づいてしまうのだ。
もうずっとこういう感情ですよ僕は。お金もない。努力もしない。25を過ぎたら死ぬしかないらしいけど何の覚悟もない。形のない恐れだけが、俺の首と肺と臓器のそれぞれを破壊している。石風呂大先生のいう通りだ。
「あの頃はよかったってことですか?」と脳内読者からよく質問が届く(重症)のだが、そういうことじゃない気がする。いわゆる「あの頃」が自分のピークとか最高到達地点とかは思いたくはないし、事実そうでもない気がする。
そう今がクソだなとひたすらに思うだけなのだ。明順応と暗順応みたいなモン。さっきまで明るい高速道路をひた走っていたとき、突如としてやって来るトンネル。急に暗くなる視界に、目がまだ全く慣れていない。順応できていないのだ、トンネル内のオレンジの光が、意外と優しくて温かいことに気づけていないだけなのだ。
「とはいえですね、それでもあの頃の花火みたいな輝きは、それはそれはきれいなものだったじゃないですか」と脳内読者は俺の質問箱を荒らしている(と思い込んでいる病気)。
まあそれはそうだけど、美化しすぎな気もするよ。だって俺が高校生のとき好きだった言葉、星新一の「青春とはもともと暗く不器用なもので、明るくかっこよくスイスイしたものは、商業主義が作り上げた虚像にすぎない。」って言葉だったしね。そんなひねくれた陰気臭いやつが「あの頃はよかった」なんて言ってたらお笑いだろ。
あーでもその無知蒙昧さも含めて甘酸っぱかったよ、もう俺は高校生中毒。JKが好きとかDKが好きとかそういうことじゃなくて、セーブ&リセットの効かないゲームを遊んでいて、回収不能なフラグが山のように積み重なっちゃったときみたいな、別ルートも試してみたいけどそれが叶わないときみたいな。
ね!高校生!全員一発ずつぶん殴らせてくれ。ぶん殴られたその痛みが、そのまま高校生という時期の貴重さを表してる。
そしてぶん殴った時のその虚しさと罪悪感で、俺は首吊りたくなっておくから!
ね!頼むわ! PTAもOECDもNHKも、よろしく!俺たち20代が高校生をビンタできる法律を作ってくれ!
これって危険思想?
ハイそうです。ごめん。許してください。
あ、パトカーって意外と広いんすね。署? 署ってなんすか?
えなんでドア閉めるんですか。どこ連れてくんですか?
は? 逮捕? 冗談きついっすよw
あ、これ手錠? リアルっすね~~ww
ブロロロロロロロロ・・・・・(そして、サイレンの音が鳴り始める)