言いたいこと以外言わないソレ

言いたいこと以外のことを言わない文章の集まりです。

頼まれたもの納品1

 

キーンコーン、カーンコーン。

 

「起立、気をつけ」

春、桜、クリーニングしたての制服。4月の穏やかな気温と、新学期独特の高揚感。

「着席」

すこしだけ上ずった号令役の声。バラバラに起立し、みなバラバラに着席する。

新しい顔ぶれに、まだみな戸惑いを隠せないのだろうか。

 

「それでは、まず自己紹介から始めましょう。」

新任教師は柔和な声でそう呼びかけた。春爛漫とした窓からの景色に溶けていくような声だった。

 

そんな彼の足元には、まだ名前も知らなかった男子生徒の、首から上がない状態が、横たわっている。

 

春、桜、クリーニングしたての制服、それとデスゲーム。僕らの2年4組は、ここから始まった。

 

 

***

 

 

「まずは自己紹介から始めましょう。」

ニコニコしている新任教師。

 

 

 

先程の始業式で、男は蜆崎と名乗っていた。担当科目は数学。出身がこの高校らしいこと、あとは娘が1人いること、僕たちが知りうるこの男の情報はたったそれだけだ。

 

彼の冴えない話し方といかにも理系という風貌から、イケメン教師の担当を期待していた女子たちは音速で落胆し、女性教師の担当を期待していた僕たち男子は光速で落胆した。

 

浮足立ってざわつく僕らを特に注意することもなく、蜆崎は体育館から教室に僕たちを先導した。みなひそかに、「今年はアタリ」と思ったとおもう。口うるさく注意することもなく、ただ口の端に笑みを浮かべているだけ。間違いなくユルい一年になるだろうと確信に近い予感を抱いていたのだ。

 

違和感をおぼえはじめたのは、三年の教室がある四階に到着してからのことだった。蜆崎は、配電盤を見つけるごとに立ち止まり、生徒に先を行かせ、中をあけて覗き込んで、また生徒の先頭に合流する。

僕たちはこの奇行に吹き出さずにはいられなくて、くすくすと笑い声があちこちで漏れ出ていた。クラスの陽気なやつ――あれは元2組の中西だっけか――なんかは「蜆崎センセ、キューに機械いじりすんなってぇ」と茶化していた。

蜆崎は不気味なほどに何も言わず、ここでもやっぱりただニコニコしているだけだった。

 

教室に到着すると、まず蜆崎は窓とドアを完全に閉めさせた。「声が隣の教室に聞こえるとよくないですからね」だとか言っていた。

みんな、「ちょっと騒ぎすぎたな」「これから説教が始まるのか?」「だから閉めさせたのか」とか少しだけ不安になって、徐々に話し声はなくなっていった。

 

 

「さて。始業式のあいさつでもあったとおり、しばらくこのクラスの担任を務めさせていただくことになった『蜆崎』と申します。担当教科は数学を担当します」

蜆崎の声は機械みたいに平坦なトーンで、陶器みたいにまっ平らなボリュームだった。

「先生は、みんなに大切なことを教えるために先生になりました。それは大人になってからは決して学べず、そして子どものうちには真に理解することが叶わない大切なことなのです」

何だ何だ、人生哲学みたいなものを語りだしたぞ、と去年からの知り合いとか、数名は顔を見合わせていた。女子の何人かはまたクスクスと堪えきれず笑い声を漏らしていた。

 

「みなさんは遥かに未熟です、自分が思うよりも遥かに未熟です」

去年同じクラスだった瀬尾が、前の席から僕の方を振り返って「なにこれ」と小声で言ってくる。「しらない」と僕は答えた。クラス内が三々五々そんなかんじだった。

 

「でもそれは決して恥ずべきことではありません。生まれながらにして成熟している人間などいないのですから。そもそも、満ち足りて生まれることは、逆説的に欠落の一つだと先生は思っていますし」

新任の挨拶からかましてんな、と誰もが思っていただろう。こんな、自己啓発セミナーで百万遍と擦られたような話に揺さぶられるほど僕はがきじゃない。

みんなすでにこの蜆崎という男への興味を失っていた。窓の外を眺めたり、隣近所と小声でおしゃべりをしたりしている。

 

「では問題は、その未熟さを棚に上げ続ける行為なのですね。自身の未熟さを顧みないことは、本当の過ちなのだと思います。孔子が言うようにね」

最後列の席で、不良で有名な――名前は知らないけど――男子生徒がとうとうイヤホンで音楽を聞き始めた。おそらく爆音で、ちょうど教室の真ん中に座っている僕の耳にまで、小さく音漏れが聞こえてきてしまう。みんな彼に気付いてチラチラ振り向いているけど、彼は苛立たしさを鎮めるみたいに目を瞑っている。

 

蜆崎はそこで、急に話すのをやめた。視線の先はその男子生徒にある。「流石にそれはヤバイって」と隣の席の女の子が肩を叩くも、彼はちょっと眉間にシワを寄せるだけで応えようともしなかった。

蜆崎はちょっと困った顔をして、ゆっくりと教室の後ろのほうへと歩いていった。

 

みんな、完全に静まり返っている。耳鳴りみたいな静寂が教室を満たしていた。

「みなさん、丁度いい例題ですね」

蜆崎の革靴の足音と、言葉だけがひんやりと教室の中に響いている。ヤバイ、長い長い説教が始まる、面倒くさいタイプだ、と、皆危惧していた。瀬尾は「このあと彼女とイオン行く予定あんだけど!」と小声で言ってくる。知らないってば、こっちが怒られるからだまってくれ、と僕は思った。

 

「未熟さというものが、棚の奥のチーズみたいに腐るとこうなってしまうのですね」

相変わらずうざったい文章で不良生徒のもとへと歩いていく蜆崎。しかし当の本人は相変わらず気づかないままだ。

 

「では、失礼して」

蜆崎は彼のイヤホンを耳から引っこ抜いて、遠くに放り投げた。

「は?」

彼は苛立ちをあらわにして蜆崎を睨めつけた。流行りのJ-POPがシャカシャカ遠くでなっている。

「あなたは私のHR中に、私の話を聞かずイヤホンで音楽をきいていましたね」

「オイ、人のイヤホン投げんなよ」

「まあ私の話に好き嫌いがあるのは承知していますし、多少注意力が散漫になってしまうのは認めますが」

「マジで話聞けや」

「絶対に気付いているのに、無視し続ける理由とはなんでしょうか?」

「オイ」

「それが答えでよろしいですかね」

「マジでふざっけんなよ」

ヒートアップしていく彼の熱量とは対照的に、蜆崎は教科書の問題文みたいに冷静だった。そんな態度は余計に彼の怒りを助長させていた。皆ハラハラしながらことの成り行きを見守ることしかできなかった。

 

「不正解ですね」

「うっせぇな、ホントっ」

 

彼が拳を振り上げて飛びかかろうとした、次の瞬間、彼の首を境に、彼は二つに分断されていた。どういう手品を使ったのか、音もなく。

「これが例題ですね」

 

しんとしていた教室は、どくどくと溢れ出る鮮血と赤黒い血が水たまりをつくったころに、突如として阿鼻叫喚の様相を見せた。

 

「ヤバイって!」「オイオイオイ」「嫌…」

 

皆パニックになり、一目散にドアになだれ込んだ。が、開かない。

「オイ!ドア早く開けろ!」「開かないんだって!」「開かないわけないだろ!」

 

「開かないですよ」

蜆崎が騒然とするみんなをこの一言で静まらせた。説得力のある重々しさを孕んだ声色だった。

「それでは席につきましょうか」

蜆崎は、名前もまだ知らない不良生徒の身体を引き摺って、教卓に戻っていた。

 

皆、もうおとなしく言うことを聞き入れるしかなかった。

瀬尾もそうだし、みんなの顔は青ざめていた。涙目になっている人もいた。

 

「号令係、新年最初の号令をお願いします」

号令係の今下さん――去年同じクラスの委員長だった――は、わなわなと口の端を震えさせながら、号令をはじめた。

 

「起立、気をつけ」

春、桜、クリーニングしたての制服。4月の穏やかな気温と、開かないドアと鉄分の臭い。

「着席」

すこしだけ上ずった号令役の声。バラバラに起立し、みなバラバラに着席する。膝が震えて立ち上がるのに苦労する人、立ち上がってもうまく動けず地面にへたりこんでしまう人。

 

「それでは、まず自己紹介から始めましょう。」

蜆崎はそう言って、黒板に「1時間目 自己紹介」とチョークで書いていった。

 

「皆さんにこれから自己紹介をしていただきます。一人ずつ、出席番号順に」

そして蜆崎は、黒板にこう続けて書いた。

「ルール①について述べましょう。まず、これから一人、発言できる秒数は180秒以内とします。」

ルール①:発言時間は180秒

 

「そして最低でも一人、この中から生徒をみんなで決めて殺してもらいます。なぜなら、嘘つきがこの中にいるからです」

ルール②:この中から一人は殺さなければいけない

 

どよめくみんなを他所に、蜆崎は鋭い鎌みたいなものを教卓に置いた。

「殺害はこの鎌で行ってください…。もちろん、二つのルールのいずれかでも破った悪い生徒は、『不正解』とみなされます。」

 

「では、相生さんから。自己紹介をお願いします」

 

僕らの長いホームルームが、たったいま不吉な幕開けで始まった。

今宵の炒飯のように

マリオカートの日記は鋭意執筆中。10日目まではまとまりつつあるので、丁寧に書き直して脱稿する予定。

 

お金がないので、家にずっとあったコメを炊いて、100円の1パック6個の玉子を買ってきて、卵だけのチャーハンを作る。そんな毎日を送っている。

 

本当はうつうつとした雰囲気のある文章なんて書きたくなくて、毎日健康的に目を覚まし健康的に眠りにつきたい。散漫で屈折した感情をパワーに文章を書くもんだから、毎回こういう状態で書いた文章群はどうしても駄文になってしまうし。

エレファントカシマシハヌマーンを聴きながら、20cm×30cmの小さな板に指を叩きつけるだけのこの作業で自分を肯定しようと試みるけど、どう考えたって上手くいくはずもなく、気分はそのままに時間が一方向に流れていく。

 

代数の講義中、ふとプツンと何かが切れかけたような気持ちになって、トイレに行く風を装って席を立った。そのまま男子トイレの横を通り過ぎて、自動ドアを抜けて外に出た。半ば無意識的に大学の正門を左に抜けて、あてもなく直進を続けた。

気分は高揚でも焦燥でも不安でも憂鬱のどれにも染まらなかった。薄いカルピスみたいに判然としなかった。説明のつかないところに理由があって、もしこの行いをとがめられたり叱られたりしても、反省するという機能が存在しないから、どうにもできないと思う。

 

いつもは通らない路地裏に入ると、目の前を茶色と白のかたまりが駆け抜けた。三毛猫。三毛猫は俺のほうをじいっと見ていた。

写真を撮って、また少し歩いていると雨が降り出してきた。

授業をトイレに抜けたと思っていたやつが、びしょぬれで帰ってくるのはおかしすぎるので、雨が本降りになるまえに帰らなくてはいけなくなった。汗だくになるけど、致し方ないので走って最寄りの大学の入り口に向かった。

 

こういう(たぶん)だめなことをしたくなる日ってないのだろうか。心のどこかに、一旦すべてが滅茶苦茶になったらいいな、って思う領域はないんだろうか。

例えばエナジードリンクとか度数の高いお酒とか、一日で5Lくらいのんで滅茶苦茶になったり、例えばふと歩いていた大きな橋から全ての荷物を投げすてたり、例えば…。

 

にじさんじ全員倒すマリオカート8DX【#0】

 

おことわり

・この記事のいかなる文章や画像も、ANYCOLOR株式会社にじさんじプロジェクト所属ライバー・キャストの名誉を毀損、または権利を侵害する目的で作成しておりません。

・この記事内で使用されるライバー・キャストの画像は「ANYCOLOR二次創作ガイドライン」、ゲームのスクリーンショットは「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物に関するガイドライン」、また著作権法32条第1項にしたがって使用されています。

・当ブログはアフィリエイトなどによる収益化を現在一切行っておりません。

 

 

初回なんで、真面目に行かせてもらいましたけど。そういうことで…。

 

 

6月10日(金)(Day0)

(BGM:♪解放のドラム)(各自脳内で再生しておいてください)

www.youtube.com

(脳内再生できないザコはYouTubeで再生しててくれよな、ザコ右脳)

 

男は悩んでいた―――。

 

マリオカート8DXを購入して約3ヶ月――プレイ時間にしてたったの135時間―――。

 

張り合いなくただひたすらにミュートシティのNISCを練習しては、成功動画をTwitterに上げ続けるだけの日々――。

時間だけが徒に溶け続ける一方、NISCが成功しても誰も褒めちゃくれないのでやる気も湧かず、惰性的に、上達のないマリオカートを続けていた―――。

 

 

このまま、何の記録にも記憶にも残らず、挫折も敗北も目標も無くマリオカートに飽きていくのか…?

 

 

自問自答の日々に葛藤していたとき、第二回にじさんじ杯の切り抜きを見ていた俺は、刹那、ある考えに辿り着いた―――!

 

 

 

ルフィ「にじさんじ全員にレートとTAで勝ちたい』と、言えェ!!!!」

 

勝ちた

 

 

ロビン「生ぎたいっ!!!!」

 

 

 

おい!!!!!!!!!!!!!!お前の出る幕じゃね〜の!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

ルフィさんもこの顔だよ。反省してくれや。

 

 

 

 

企画説明・ルール

にじさんじレートで全員勝ちます。正確に言えば2022/6/10現在のにじさんじ非公式wikiに掲載されている、「レートまとめ(参照)」の最高レートであるシェリン・バーガンディ」さんのレート20006を超えること、が本企画の目標その1です。

 

にじさんじTA(タイムアタック)の記録ですべて勝ちます。正確に言えば2022/6/10現在のにじさんじ非公式wikiに記載されている、「コース別タイムアタック上位記録(参照)」にて、記載されている全コースの1位記録より速いタイムを出しますさらに正確に言うならばすべてのコースの1位記録が「シェリン・バーガンディ」さんの保持しているものなので、結論「シェリン・バーガンディ」さんのTA記録にすべて打ち勝ちます。これが目標その2です。

 

シェリンすぎね????

 

・ライバーの活動に伴って、にじさんじ非公式wikiさんが更新されるかもしれませんが、それを反映するかどうかは現時点で決めていません。

 

・なお、TAについて、キノピオハーバー」「ヘイホーこうざん」「ドルフィンみさき」「ワリオスノーマウンテン」はNITA(アイテムなしタイムアタック)の記録であるため、こちらもそれに準ずる予定です。

 

・またキノピオサーキット」「チョコマウンテン」「トーキョースクランブル」「キノコリッジウェイ」「スカイガーデン」についてはどのライバーのTA記録も記載されていませんので、記載されるまでは俺の勝ちです。

・悔しいか!?!?悔しかったら登壇(のぼ)って来い――。

 

・また新コース追加された場合は、それらも同様のルールにおいて、TAで勝利することが目標となります。

 

・あとサムネイル画像が全員登場しておらず、「ローレン・イロアス」さんから始まっているのは、2020/6/11時点レートが3000を超えているライバーに厳選させていただいたためです。ご了承ください。

 

 

・作者疾走予定シリーズです。

・そんで作者失踪予定シリーズです。

 

 

 

 

読み飛ばしたそこのお前のために説明するなら、にじさんじ倒すとかうだうだ言ってるけど、結論

シェリン・バーガンディ

こいつ。

 

 

この運転がうますぎるヘボ探偵に勝つ、それだけです。強すぎなんだよコイツ。

 

 

6月11日(土)(Day1)

これ書いてたら日ィ跨いじまった。ワリィな!w(ルフィ)

 

ルフィって無自覚なアルハラすごそう。

ゴムゴムのイッキを強要してくる。

 

 

さて。

 

肝心な話、企画開始現在、現段階で俺はにじさんじとどれくらい張り合えているのか。

そこがやっぱり気になるところであろう…。

 

 

まずはレートから。

 

現在、俺のレートは4009である。

レート

そもそもあんまり野良レートに潜っていなかったのだが、今日ブログを書こうと決心したので一日で1000上げてなんとかいい感じにしておいた。

 

これは、にじさんじ内と比較するならば、こんな感じになる。

 

比較

なんか両手に花、みたいになっちゃった。

 

サムネ画像

に写っている人(俺含む)の中で考えれば、30人中27位といったところだろうか。

まだまだ先は長い…マジで失踪するんじゃない?

 

 

そして(VSシェリンの)TAはどうかというと…

 

あ~~~…

 

 

あ~~~…………

 

 

オッ!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 

 

あ~~~…………

 

 

あ~~~~~~!!!!!!!!

 

あ~~~~~~~~!!!!!!!!!!!あ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

わ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!

わわわわ~~~~~~~~~~~~あ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!?!?!??!?!?

 

 

 

ワギャンランド2!?!?!??!?!?!??!?!?

 

 

 

 

ワギャンランド



 

ワギャンランド2!?!?!?

ワギャンランド???!?!?!??!?

ワリオスノーマウンテン?!?!

ワ!?!?!??!?!??!?

 

 

 

現在の戦績  

 

 

ルフィ「『それでも死に物狂いで頑張ります』と、言えェ!!!!」

 

「・・・・・・」

 

ルフィ「言えェ!!!!」

 

「・・・・・・」

 

チョッパー「今から国歌を歌いたいと思います」

 

ルフィ「言えェ!!!!」

 

チョッパー

Σε γνωρίζω από την κόψη
του σπαθιού την τρομερή,
σε γνωρίζω από την όψη
που με βία μετράει τη γη.
Απ’ τα κόκκαλα βγαλμένη
των Ελλήνων τα ιερά,
και σαν πρώτα ανδρειωμένη,
χαίρε, ω χαίρε, Ελευθεριά!

(畏敬の剣に汝の姿を見る
大地を統べる汝の御力
ギリシャの聖なる骨により生まれ出でん
いにしえより勇敢なりし
歓呼して迎えよ 自由万歳!)

ギリシャ国歌)

 

 

つづく

 

 


(BGM:解放のドラム)

 

 

革命の夜明けまで時間がない

デカくて強い言葉を使うのは簡単だが、それによって受ける反動に耐え切れるような体幹が必要不可欠である。

巨大な得物を使うときは、肩や腰に負担がかかるのと同じように、デカくて強い言葉にはいわゆる諸刃の剣的側面があるのだ。

 

例えばダイエット。「△までに○キロ痩せる」という強い誓約は、口に出した瞬間にピークの快感を与えるが、その実闇金もびっくりの強い負債をも同時に与えている。

もしこれが実現できれば、その人にはダイエットで痩せたぶんの魅力が付与されるだけでなく、自分との契約を達成したという自己肯定感もたっぷり与えてくれる。しかし、もし契約不履行…つまり全くもって達成できなかった場合、圧倒的な敗北感と劣等感が、自覚の有無に関わらず今後の人生に付き纏う。

 

そして俺はこの半生で、幾度と無く契約不履行を繰り返し、夥しい量の自分への不信感を蓄積してきた。それは最初は無自覚的なものだったのに、ここ最近はもはや、もはや自分に対して何かを挑戦するということさえ諦めてしまっている。まるでテンプレのように「できないなら目標を立てるだけ労力の無駄である」と言外にそうにおわせていた。

自分がそんなちゃっちい人間だと思いたくないが、事実俺はずいぶんとつまらない人間になってしまった。つまらない人間になりたくないなんて中学生の頃は洟垂らしながら思ってたんだろうけど、その思考がつまらなさの轍をなぞり始めていたのかもしれない。

 

 

 

有名人や配信者の年齢が、じぶんと二、三年程度しか変わらないことに気持ち悪くて惨めな感情を抱き続けているけど、いつまでこんなことしているんだろうか。

曰く俺。

今までの20年164日2時間1分13秒のすべてが、差押債権目録に記載されている。裏切り続けてきた報いとして、本来正当に努力して全うに叶えていたはずのバラ色の時間を、すべて差し押さえられてしまっている。

 

だから惨めなのだ。

 

答えなくてはならない。いつまでこんな惨めな思いをするのか。

 

あえて強くてデカくてカッケエ言葉を使うなら、それは今このときまでだ。今ここでやめるしか無い、今日たった今ここでやめるのが最善の選択であり「最大値」なのだから。

 

明日の朝が来るまでに準備を終えなきゃ。

 

じんのヘッドフォンアクターで言うところの「もう残り一分」で、サンボマスターが言うところの「終わらないミラクルの予感」で、ハンブレッターズが言うところの「どこまでも行けると思った夜」で、GOING UNDER GROUNDが言うところの「バカどもが寝てる間にさよならする今日」で、フジロッ久(仮)が言うところの「命消えちゃう前に成し得なくちゃ」で、クジラ夜の街が言うところの「六畳部屋から打ち上げる透明花火」だったりして、SULLIVAN's FUN CLUBが言うところの…あーこれ選べないな、でも、多分「iPod nano 握りしめ逃げ出した夏の午後」で、ハルカミライの言うとこの「明かりの先」で、ピノキオピーが言うには「セカイはまだ始まってすらいな」くて、神戸が言うには「夢をあきらめ」なきゃいけなくて、で、UNISON SQUARE GARDENが言うところの「完全無欠のロックンロール」で、CreepyNutsが言うところの「何者ですら無い俺のドラマ」で、TEPPANが言うところの「惰性な現状」で、だからこそこれが、MOROHAが言うところの「革命起こす幕開けの夜」

 

強い言葉は冷静になればなるほど身が竦み、恥じらい、黒板に書かれたチョークの軌跡を急いで消そうとするように、それを撤回しようとしたくなる。だって、強い言葉を吐いたって強い人になれるわけではないから。

 

朝になったら気恥ずかしくなっているかもしれないけど、でも吐かな始まらない。強い言葉から逃げていては、にっちもさっちも立ち行かない。

とにかく頑張りたいのだ、敗者復活戦の最終受付が今日だった、そういう話。

そして5月が終わる

ハイキューを全巻揃えた。ここ二週間ほど、プログラミングの参考書と一緒に床に平積みしていたんだけど、部屋が流石に終わっているので棚を買ってそこに整頓した。

平積みされていた夥しい数の書籍は今ではとりあえず山善の棚に収まり、もともと書籍の積まれていた位置には棚が入っていたダンボールと脱ぎ散らかした服が積み上がっている。あーあ、片付いたと思ったのに、次の瞬間それを充填するように物が積み上がる。よかった〜、質量ピッタリ。

M-1 2021 敗者復活戦 順位(全国平均点)&優勝者など結果まとめ

 

そんで、今も部屋は汚い。洗濯後、着用済み関係なく団子状になった衣服がベッドを占領しているせいでここ一週間ベッドで睡眠できていない。床で寝ている。よって体はバキバキである。身体をバキバキにするだけなら、肉体改造など必要なかったのだ。

 

床のそこかしこにいつ飲んだかもわからないペットボトルと丸まった洟擤みが散乱しており、今僕の部屋の居住スペースは睡眠するためだけに残された縦長の長方形のみである。中学校の社会科で習った、奴隷船ブルックス号を彷彿とさせられる。セルフ鮨詰めの実践に関して、この町内で僕の右に出る者はいないであろう。

どうしてこんなに部屋が汚いんだ?と首を傾げたくなるも、答えは簡単。収納が無いからとか、部屋の間取りが狭いから、とかじゃなくて、「部屋を一度も掃除していないから」、これだけ。

 

 

本当は掃除しなくちゃならないと解っているが、多種多様な言い訳でそれを退け続けている。ブログを見返したら、部屋の汚さに関する文章がびっくりするくらい沢山あって引いた。

 

有名人や配信者の年齢が、じぶんと二、三年程度しか変わらないことに気持ち悪くて惨めな感情を抱き続けているけど、いつまでこんなことしているんだろうか。

そして5月は終わって梅雨が来る。梅雨が来て腐った戸棚の調味料のことを考えなくてはならない。

短いブログを少し書く

タイトルの通り。

 

最近書いた自分の文章と、一年前に書いた自分の文章を読み比べて、「昔の自分はなんて稚拙な文章を書いていたんだ、しかも、それを得意げにインターネットに発信しているなんて…」と頭を抱えてしまった。

なんで、書いている当時は無敵感に溢れているんだろう。なんで、あんな「俺は文章がうまいです」みたいな顔できていたんだろう。下手くそのくせして。

 

というこの文章も一年後の自分からすればしにたくなるほど下手くそな文章なのだろう、確信に近い予感が警鐘を鳴らしている。

いつまでこんな黒歴史を垂れ流して生きていけばいいのだろうかとこれを書きながら不安になってしまった。文章を書きたければWordにでも手帳にでも書いていればいいのに、どうしてインターネットの大海原に黒歴史の稚魚を放流し続けているんだ。

 

でも書かずにはいられんばい。タイプミスで熊本弁みたいになってしまったけど、まあそういう感じ。書かずにはいられんばい。

近況報告(完成)−改訂版(要訂正)最終決定.docx

頭皮を指の腹で擦ると塩ビ管の匂いがした。幼い頃父の勤めていた会社で嗅いだことのあるような匂いだった。

4月はあっという間に過ぎていった。宣言したことの体感1割も達成できない日々が過ぎていった。そのたびに屈折した感情が折り重なって仄暗い地層を形成していった。

 

帰り道、冗談じゃなく千回くらい聴いてきた曲がイヤホンから爆音で流れ出してきた。ここで立ち止まってしまいたくなった。もう、膝から崩れ落ちて、アスファルトの人工的な冷たさに体熱を奪われながら死んでしまいたくなった。

名作アニメ映画、火垂るの墓の冒頭は、こうである。「昭和29年9月21日夜。ぼくは死んだ」。亡霊となった主人公清太が駅の柱にもたれかかっていて、しかし周りの人々は誰も気に留めずにそのそばを足早に通過していく。

それだ、そんな感じの気分だった。時として悲哀に満ちた映画の主人公になりたくなることもあるのだ。せめてこの喜劇が成就しないのであれば、悲劇のヒロインにならせてくれ。

 

でも実際は立ち止まらずに、なぜか興奮が沸き立つ脳みそを必死に説得しながらあるいていくのだった。

サビのない曲みたいな人生だけど、いまここがAメロであって欲しいなと思いながら。