「
「俺さ、ちょっとやってみたいことがあって」
「ほう、やってみたいこと？」
「うん、俺、マクドナルドの店員さんになってみたいんだよ」
「なるほど。じゃあやってみようか」
「いらっしゃいませー。次のお客様こちらへどうぞー」
「あ、はい」
「ご注文はお決まりでしょうか？」
「エキサイト翻訳を―」
「エキサイト翻訳を？？」
「右で」
「右？？」
「それを７つ」
「ちょっと待ってくれ」
「紗々？」
「お前、二年前のAI生成かなんか？？」
「紗々？」
「お前の言ってる意味が一個もわからないんだけど」
「紗々？」
「マクドナルド行ったことないだろ、お前」
「紗々？」
「あとさっきからお前『はにゃ？』みたいに『紗々』って言うな」
「東京タピオカワールド」
「もういい、もっかい。今度はちゃんとやってくれよ」
「了解」
「いらっしゃいませー。次のお客様こちらへどうぞー」
「CRAZY GIRL...」
「ご注文はお決まりでしょうか？」
「BOMB...」
「おい手が出るぞマジで」
「スミスキー８ダースください」
「ここヴィレバンの倉庫じゃないんで」
「らきすたの間の星って白星が正解なん？黒星が正解なん？」
「京都アニメーションにきいてくれ」
「波よ聴いてくれみたいに言うな」
「言ってねぇよ」
「えびフィレオセット４つ。レタスとバンズ抜きで」
「唐突にキモい注文すんな」
「コムギアレルギーなんで…」
「それはマジで配慮の問題だった」
「ポテトは孤独狸固の位置に置かないでください…」
「コムギって軍儀のほうかよ」
「注文『新（あらた）』で」
「軍儀はもういいって」
「魚（ぎょ）２トン」
「殺すぞ」
「―なあ、俺なんか間違ってたか？」
「全部」
「家族チャーハン」
「もうそもそも根本からしてお前は会話になってないんだよ」
「お前俺のこと嫌いか？」
「金魚番長」
「おいさっきからお前」
「ゼロカラン」
「お前神保町よしもと漫才劇場の所属芸人で相槌打ってんな」
「荒唐無稽ズ」
「舐めんなよマジで」
「ねこやしき」
「ホントお前…」
「柴漬け」
「荒唐無稽ズから先、そんな芸人いねぇよ」
「ほんと申し訳ないとは思ってるんだよ」
「あそうなん？」
「今度こそ、今度こそちゃんとお前の夢叶えたい」
「別に夢ってほどじゃないんだけどな」
「一回でもお前の意思に背くようなことがあれば、俺は腹を縦に切る覚悟で来てる」
「珍しい切腹」
「あとつり革で首吊ってくる」
「低すぎ絞首刑」
「とにかくそれくらいの覚悟なんだ。男に二言はない」
「お、言ったな。言質取ったからな、じゃあ頼んだぞ」
「いらっしゃいませー。次のお客様こちらへどうぞー」
「私がモテないのはどう考えても環太平洋戦略的経済連携協定が悪い」
「おいふざけんなどこの女子高生がTPSEPに恋愛を阻害されてんだよ」
「朝から𝕏O𝕏O, yo, I think so 𝕏O grrrr」
「イーロン・マスクのテコ入れが入ったNidra Assassinのバースやめろ」
「怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢福祉福祉福祉福祉福祉福祉福祉福祉怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢怠慢」
「逆ビッグモーターが来店しちゃったよ」
「椎名GINRO」
「おいコイツ止まんねぇな」
「ふぅ…」
「お、やっと落ち着いたか」
「すまんが、つり革と刀持ってきてくれないか？」
「言行一致の精神だけ完璧じゃねぇか」
「頼む、これが俺のやってみたいことだったんだ」
「いや先に俺にマクドナルドの店員やらせてくれよ」
「もういいよ」
「お前が言うな」
「「どうもありがとうございましたー」」
――っていうネタをやってみたいんだよね。俺漫才師に憧れててさー。」
「お前、ロシア文学くらいセリフが長ぇよ」
